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前回、「まちがえてもいい」ということについてお話しましたが、やはり自分に自信がない答えを言わなければいけないというのは勇気がいる事です。

その時の心の中はきっといろんな葛藤でいっぱいなのでしょう。

そうすると頭の中がゴチャゴチャになってきて、余計に何と答えて良いかわからなくなったりするものです。

私はそこで生徒さんが冷静に自分と対話し、思っている気持ちの糸口を掴んでもらうのを待ちます。すると、少しずつ答えに関しての単語が出てきます。その言葉に相槌を打ってあげるとスルスルっとその先が出て来ることはよくあることです。

例えば、こんな記号が出てきたとします。

真ん中上部にある目のような記号。

これはフェルマータと言い、その記号が付いた音符や休符を十分に伸ばすという意味です。この記号が付いた時の奏法がこちら。

フェルマータが付くと、その前の部分がrit.(リタルダンド…だんだん遅く)して、フェルマータを十分に伸ばした後にV(ブレス…呼吸)が入り、その後a tempo(ア テンポ…元の速さで)となるのですが、楽譜には何も書いてありません。それを子どもたちに教えてもなかなか一回では覚えてくれません。なので記号が出てきた時にその都度質問をします。「これは何?」「どんな事に気をつけて弾くの?」そんな時子ども達は一生懸命考えて一言「バスが…」と言うのです。そこで私は目をキラキラ?させて(笑)「うんうん!バスが?」と聞くのです。そうすると子どもは安心したように「えーっと、お客さん乗せるから」とか「いっぱい止まって伸ばす」などと出てくるのです。

この「バス」と言うキーワード、実はフェルマータはイタリア語で「バス停」という意味があります。このバス停に停車するためにバスが減速(リタルダンド)して停車してお客さんが乗り降りし(フェルマータ)発車の確認をして(ブレス)再び走り出す(ア テンポ)という説明をするのです。

ここで注目したいのは、はじめに出てくる単語(ここではバスの事)です。この単語が出てくる事によって私が「うんうん!」と相槌を打つと安心して次の答えが出てくるという事もあるのですが、こんがらがっていた自分の頭の中から引き出してきたはじめの単語により自分の言いたいことが明確になり、整理されて続きが芋づる式に出てくるということもあります。

明確な答えが出てきたら後はそのために自分が持っているテクニックや知識の中からどれを選び、どんな風に使うか決める作業に入ります。

レッスンで覚えた知識やテクニックというものは持っている洋服と同じで、ただタンスの奥底にしまっているだけでは何の役にも立ちません。

自分が持っている洋服(知識やテクニック)をどんな場面(曲やその時のフレーズなど)でどのようにコーディネートするか選ぶのは自分です。

なのでレッスンの時にも答えを自分で自分の引き出しの中から取り出してもらう作業をしてもらいます。

そしてそれに合わせて一番ふさわしい演奏の仕方を考えます。その時々に合ったコーディネートという事ですね。

このような事から、自分の持っている力を自分の力で引き出し、使いこなすためにも、自分で考え、自分の言葉で答えるということはとても重要だという事がわかります。

「待つ」事により、自分の引き出しから、自分の力で、はじめの一言を選び持ってくるという時間が必要なのです。

いくら技術や知識を持っていても使いこなせなければそれらは生きてきません。

そのためにも「待つ」という事は大切な時間だという事になります。

しかし、(決して無駄な時間ではないのですが)待つだけで時間が過ぎてしまうのはもったいない事。

なるべくその時間は少ない方が良いですよね。

なので勇気を出して最初の一言を発してみましょう。

そうすれば時間が一気に動き出します。

一週間に一度の貴重なレッスン時間、効果的に使っていけると良いですね♪